質屋業界は閉鎖的なだけに、職人気質の頑固な人が多いもの。職人といえば「教えてもらうんじゃなく見て覚えろ」が基本。もしくは「技は盗め」でしょうか。つまり、番頭さんたちが質屋の査定方法について積極的に教えてくれる、なんてことはないわけです。でも、商品の値踏みの仕方なんて、見ているだけでわかるものではありません。かといって、普通に質問してもまずダメ。自分が10年かけて覚えたものを、そう簡単に教えてはくれません。そこで私が考えたのは、職場を離れてお酒でも飲めば、雑談ムードでそれとなく聞けるのではないか、ということ。つまり、夜の接待です。A店に入って最初の2年間は、先輩と毎日飲みに行きました。飲んで交流を深めつつ、「あの商品はどうやって鑑定したのか」とか「なぜ、その額をつけたのか」ということを聞き出していたんです。それを毎晩。だから当時は、家出でもしたのかというほど、ほとんど家に帰っていませんでした。おかげでお酒に強くなりましたが、この生活のおかげで、当時は15Kgも太ってしまったほどです。